ディズニーが明かす、世界的ヒットを生んだディズニー流・音楽フランチャイズ戦略とは?

私の青春、ハイスクール・ミュージカル!
2006年1月20日、ディズニー・チャンネルのオリジナル青春ミュージカル『ハイスクール・ミュージカル』が全米で初放送されました。日本では、2006年8月19日に放送された本作は、単なるテレビ映画の枠を超え、世界的なスーパースターを生み出し、ポップカルチャーに大きな影響を与える“新時代の幕開け”となりました。
監督を務めたのはディズニー・レジェンド、ケニー・オルテガ。主演にはザック・エフロン(トロイ・ボルトン役)、ヴァネッサ・ハジェンズ(ガブリエラ・モンテス役)をはじめ、アシュリー・ティスデイル、ルーカス・グラビール、コービン・ブルー、モニーク・コールマンらが名を連ねました。当時すでに『スイート・ライフ』で知られていたアシュリーを除き、ほとんどが新進気鋭の若手俳優だったことも、本作のフレッシュさを際立たせています。
初回放送では全米で約770万人が視聴し(※1)、ディズニー・チャンネル史上最高記録を更新。
その勢いは音楽シーンにも波及し、テレビ映画として史上初めてサウンドトラックがビルボード・トップ200で1位を獲得しました。さらに2006年の年間アルバムチャート、サウンドトラック部門、キッズアルバム部門でいずれも1位を記録する快挙を達成します。
翌2007年には続編『ハイスクール・ミュージカル2』が放送され、初回視聴者数は1860万人。ケーブルテレビ映画史上最高記録を打ち立て、サウンドトラックはトリプルプラチナ認定を受けました。そして2008年、シリーズ初の劇場版『ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー』が公開され、全世界興行収入は2億5000万ドルを突破。名実ともに世界的フランチャイズへと成長しました。

進化を続けるフランチャイズ
『ハイスクール・ミュージカル』の物語は、その後も形を変えながら進化を続けます。2019年、ディズニープラスのサービス開始と同時に公開された『ハイスクール・ミュージカル:ザ・ミュージカル:ザ・シリーズ』では、オリヴィア・ロドリゴやジョシュア・バセットら新世代のスターが誕生。さらに、コービン・ブルーやモニーク・コールマン、ルーカス・グラビールといったオリジナルキャストがカメオ出演し、世代を超えたつながりも描かれました。
放送から20年が経った現在も、『ハイスクール・ミュージカル』はディズニー・チャンネルを代表する人気シリーズの一つであり、テレビ放送とストリーミングを合わせた累計視聴時間は12億時間を超えています。シリーズ3作品はいずれも、現在もディズニープラスにおけるディズニー・チャンネル・オリジナル・ムービーの中でも圧倒的な人気作品です。
また本作は、ディズニーにおける“青春ミュージカル×音楽主導型”という成功モデルを確立し、『キャンプ・ロック』『ゾンビーズ』『ディセンダント』(累計視聴時間約10億時間)といった後続の大ヒットシリーズへと道を切り拓きました。

なぜ、ここまでの成功を収めたのか?
20周年を記念し、ディズニー・ブランデッド・テレビジョンの実写部門エグゼクティブ・バイス・プレジデント、チャーリー・アンドリュースと、音楽・サウンドトラック部門シニア・バイス・プレジデントのスティーブン・ヴィンセントが、その成功の理由を振り返ります。
「当時、ここまでの現象になるとは誰も予想していませんでした」と語るアンドリュースは、作品の本質をこう分析します。「視聴者が共感したのは“自分らしくありたい”という普遍的な成長の物語です。友情の中で自分の声を見つけ、自分は何者なのかを知っていく。その体験は誰にとっても共通です。そこに素晴らしい音楽が加わり、子どもたちは自然とひとつになりました」
ヴィンセントもまた、音楽の力を強調します。「感情に訴えかけると同時に、楽しくてクール。なにより楽曲そのものが、人々にとって特別な存在になりました。十代の若者たちは、国や文化が違っても『自分はどんな人間になりたいのか』『周囲は自分に何を求めているのか』という同じ問いを抱えています。本作は、まさにアイデンティティの物語なのです」

物語を支える“多様な音楽”
「音楽は物語を伝えるためのもの」と語るヴィンセント。『ハイスクール・ミュージカル』の楽曲には、ポップ、ブロードウェイ調、ショーチューンなど多様なジャンルが取り入れられています。
トロイとガブリエラにはメインストリームのポップを、ライアンとシャーペイにはショーチューンを。演劇部が物語の中心にいるからこそ、ブロードウェイ的な楽曲も欠かせませんでした。そして、すべての想いをひとつに束ねるアンセムとして生まれたのが、“We’re All in This Together”(邦題:「みんなスター!」)。今なお世代を超えて愛され続ける名曲です。

フランチャイズが果たす役割
音楽、ファッション、グッズ、コンサート、ソーシャルメディア──『ハイスクール・ミュージカル』は、物語が日常に溶け込み、人生のあらゆる場面で“追体験”されるフランチャイズの在り方を証明しました。
「子どもたちは作品そのものだけでなく、キャラクターや俳優を愛し、強いファンダムを築いています。歌は学校や放課後でも口ずさまれ、衣装やファッションは日常の一部になる。ディズニープラスは、そうした体験を新しい世代へと絶えず届けています」とアンドリュースは語ります。

その原点にあるもの
『ハイスクール・ミュージカル』から『キャンプ・ロック3』へと受け継がれるディズニーの青春ミュージカル。その原点について、アンドリュースはこう締めくくります。「音楽は、十代の若者だけでなく、家族全員をひとつの体験で結びつけます。音楽をここまで物語の中心に据え、世界に届けられるのは、ディズニーならではの強みです」
ヴィンセントも最後にこう語りました。「『ハイスクール・ミュージカル』は、『メリー・ポピンズ』や『ライオン・キング』と並ぶ、時代を超えた音楽作品です。子どもたちの人生に前向きな影響を与えられたことを、何より誇りに思っています。多くのディズニー・スターたちがグラミー賞®受賞アーティストやすばらしい俳優として活躍する姿を見られることは本当に楽しいことです。」
(※1)ニールセン調べ
『ハイスクール・ミュージカル』20周年特別サイトはこちら
