「グローバルに考え、ローカルに行動する。 私たちの役割は身近な物語を伝えること」
現在、日本を「歩いて」縦断中。ピュリツァー賞を2度受賞し【スロー ジャーナリズム】を提唱する探検家が語る、変わりゆく地球と未来へのメッセージ

ナショナル ジオグラフィック エクスプローラーであり
ピュリツァー賞を2度受賞したジャーナリスト、ポール・サロペック氏
ディズニーとナショナル ジオグラフィックは、毎年4月のアースマンスを祝福し、地球環境について考える機会を創出することを目的に、ストーリーテリングの力でわたしたちの生きる環境に対する感謝を表現するキャンペーン「ourHOME」を全世界的に展開しています。
今年はピュリツァー賞を2度受賞したジャーナリストでありナショナル ジオグラフィック エクスプローラーであるポール・サロペック氏を迎え、4月23日(水)にメディアや関係者向けの特別イベントを開催しました。
サロペック氏は、2013年から4000日以上、世界を「歩いて」体験しながら人類の祖先の軌跡と現代の人間社会を見つめ直す旅を続けています。「OUT OF EDEN WALK (アウト・オブ・エデン・ウォーク/人類の旅路を歩く) (外部リンク)」と名づけられたこのプロジェクトは、人類の拡がりの起源 ―「エデン」であるエチオピアから始まり南米最南端まで全長およそ3万8000キロの道のりを徒歩で歩く壮大な旅。昨年夏から日本に船で到着し、現在は九州を通り関東圏へと旅を進めています。特別イベントにはサロペック氏の日本でのウォーキング パートナーであるフォトジャーナリスト・郡山総一郎氏がかけつけ、サロペック氏が提唱する“スロー ジャーナリズム”とナショナル ジオグラフィックの真髄である“ストーリーテリング”の力に迫りました。
■時速5キロで取材対象を観察、“スロー ジャーナリズム”
急速に進む世界で情報が常にアップデートされていく中、サロペック氏はあえて“スロー ジャーナリズム”というスタイルを選択します。ナショナル ジオグラフィックが科学、探検、教育、ストーリーテリングの力を駆使して、世界の素晴らしい自然の不思議を明らかにし、保護していることに共感したサロペック氏は「私にとって『歩く』ことは、より深いエモーショナルな物語を見つけること。国境や言語を超えて、意味やつながりを持つ物語、そして私たちがしばしば見過ごしてしまう感情を記録するのです」と語ります。長い道のりを自らの足で歩き、そこに暮らす人々の声に耳を傾ける理由とは。
サロペック氏はこれまで中東・中国・韓国と足を進めてきましたが「私たちの日々の物語を時速5キロでゆっくりと歩きながら、ただの『情報』ではなく、見出しの根本に眠る『意味』を懸命に掴もうとしています。その土地に生きる人々の声を聞くことで、気候変動や文化の存続、技術革新など、時代を象徴する変化の中で生きていることを実感できます」と語り「現代は風景や食料生産、自然とのつながりや、天候、水、我々を養う食べ物との結びつきが次第に希薄になっています。資源の豊富な社会では基本的なニーズが満たされていているので、地球の変化を感じづらいのです」と警鐘を鳴らします。

長い旅のなかでも日本の農村地域に根差す文化が世代を超えて継承され続けていることに驚いたと話す
昨年に福岡へ到着し、現在関東を旅するサロペック氏。あえて農村部を選んで歩いているといいます。サロペック氏が出会う人々はほとんどが70歳以上で、とても親切で幸せそうに見えたと話します。近年の気候変動による暑さや、それによって収穫時期が乱れていること、そして後継者問題を誰もが口にしていたと話します。日本に到着する前に旅をした中国・韓国でも同じことを耳にし、世界的な共通課題であることもみえてきました。
一方で、日本では長く地域に根差した伝統的な生きるための知識が、深い井戸のように豊かであるということを実感したと話します。日本には自立した自給自足の感覚があり、たとえ村に残る世帯が2、3世帯に減少したとしても苦境も乗り越えていける自信を感じたと話します。世界の多くの場所では珍しい現象だと、日本の地域に根差した知識や知見の継承され続けていることに驚いたと評価しました。
また旅に同行する郡山氏は、これまで日本人として頭で理解していたことをあらためて実感する場面が多くあったと話します。「道中出会う方の話を通じて日本の過疎化や農家の人手不足を実感する場面もあります。まさに“スロー ジャーナリズム”を通して届けられる物語が誰かのやりがいを見出すかもしれない」とサロペック氏の取り組みの力を訴えます。

トークセッションには、日本でのウォーキングパートナーである郡山総一郎氏が参加
(写真左から)司会のサヘル・ローズ氏、ポール・サロペック氏、郡山総一郎氏
■ミッションは「身近な物語を発信しつづけること」

(左写真)日本での旅で出会った農家の方。(右写真)日本での「歩く」旅ではあえて農村部を選んで歩くという。
提供:ナショナル ジオグラフィック「アウト・オブ・エデン・ウォーク/人類の旅路を歩く」
サロペック氏は、自らの役割について「すぐ近くにいる人々の声に耳を傾け、紡いでいくこと」と断言。「駆け出しのジャーナリストは誰もが世間が注目するトピックを選び、戦地に行きたい、戦争報道関係者として写真を撮りたいといいます。ですが『グローバルに考え、ローカルに行動せよ (think globally, act locally)』という言葉があるようにいまここで身近な物語を紐解くことに時間を割いてみてはいかがでしょう。隣のアパートで孤独に暮らすシングルマザー。その絶望が戦地の難民の苦難よりも小さなものだと誰が言えるでしょうか。あなたの隣や3軒先にいる人々も痛みを抱えていることを見逃してはいけません」と彼は強くメッセージを残しました。
国境を越えてどの世代の人でも共感し、この心を動かされる普遍的な物語を追求し、大切にしているのが、まさにナショナル ジオグラフィックの神髄。数多の情報がスピーディーに届けられ消化されていく現代、サロペック氏は手紙を書くようにゆっくりとした足取りで物語を紡ぎながら、これからも旅を続けていきます。
■ourHOMEについて

ディズニーとナショナル ジオグラフィックは、物語、ストーリーテラー、そしてキャストにスポットライトを当て、私たちの棲み処である地球を保護、再生、そして祝福する新たなキャンペーン「ourHOME」を実施中です。キャンペーンの一環として、ディズニープラスとナショナル ジオグラフィックでは、美しい地球の未来を保護し、再生し、祝福するために、世界最高峰の技術でこれまでにない地球の今を感じられる珠玉のコンテンツをお届けします。
■アースマンスを彩る珠玉のラインナップ
<ドキュメンタリーシリーズ『ペンギンのひみつ:過酷な世界を生きる術』>

ェームズ・キャメロン製作総指揮、ブレイク・ライブリーのナレーションで贈る、ドキュメンタリーシリーズ。地球の果てに暮らすカリスマ的な感覚を持つ鳥・ペンギンについて、今までにない新しい視点で描いたドキュメンタリー。最先端のテクノロジーや世界トップクラスの科学調査を駆使して、南半球の意外で困難な風景を住処とする種の秘密を解き明かします。ディズニープラスで配信中です。
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<ディズニーネイチャー長編作品『ガラパゴス諸島のアシカたち』>

オスカー俳優のブレンダン・フレイザーがナレーションを務める、ディズニーネイチャーの長編作品『ガラパゴス諸島のアシカたち』もディズニープラスにて配信中。
凛々しいアシカの子・レオが母親のルナとともに、海で生きる術を学んでいく様子が描かれています。
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