高いクリエイティビティと豊かなストーリーテリングを原動力とするディズニー。そのディズニーが持つ製作スタジオの一つ、サーチライト・ピクチャーズの躍進が止まらない。2024年のアカデミー賞🄬ノミネーションが発表され、劇場公開中の最新作『哀れなるものたち』が作品賞含む11部門にノミネートされたことが発表され注目が集まっている。今回は、3月11日(日本時間)の授賞式を前に、賞レースを圧巻するディズニーが持つスタジオの中から、サーチライト・ピクチャーズの作品が持つ魅力を探る。
サーチライト・ピクチャーズの代表作と言えば『ノマドランド』(2021)が記憶に新しい。車上生活に誇りをもって“現代〈いま〉”を生き抜く一人の女性の姿が多くの人の心を捉え、第93回アカデミー賞🄬で作品賞・主演女優賞に加えて監督クロエ・ジャオは有色人種の女性として初めて監督賞を受賞し話題をさらった。
1994年に設立されて以来、サーチライト・ピクチャーズは常に多用なジャンルやテーマを取り扱い、単なるエンターテイメント作品にとどまらず社会問題や人間の心理など、深いテーマに挑戦し続けてきた。第91回アカデミー賞🄬主演女優賞を受賞した『女王陛下のお気に入り』(2018)は、孤独な女王とその寵愛を奪い合う女官と侍女を描いた禁断の歴史絵巻だ。人間の弱さや愚かさを見事に表現したオリヴィア・コールマンによる迫真の演技が世界を魅了した。また、第94回アカデミー賞🄬主演女優賞を受賞した『タミー・フェイの瞳』(2021)は、1970年代から80年代にかけ、テレビ伝道師として活躍した実在の人物ジム・ベイカーとその妻タミー・フェイの波乱の人生を描いた作品。タミーの瞳の奥に映る圧倒的な慈愛は、多様性を生きる現代の私たちの心に強く訴えかけた。
2018 Twentieth Century Fox Film Corporation, TSG Entertainment Finance LLC,Channel Four Television Corporation and Jayhawker Holdings, LLC. | 2021 20th Century Studios and TSG Entertainment Finance LLC |
そして、同年アカデミー賞🄬長編ドキュメンタリー賞を受賞した『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』は、50年前に行われたブラック・ミュージックの革命的祭典を映した記録映像だ。激動の時代に投げかけられた希望のメッセージは、私たちが忘れかけていた、本当の自由、尊厳、生きる喜びを映し出す。そして、第95回アカデミー賞(R)撮影賞ノミネートを獲得した『エンパイア・オブ・ライト』(2022)は、80年代の映画館を舞台に、辛い過去や心の傷を抱える主人公と、そこに集う人々の愛と友情、そして絆を描いた珠玉のヒューマン・ドラマだ。
これらはどの作品も派手なエンターテイメント要素だけを追うのではなく、多様なテーマへの挑戦や緻密なストーリーテリング、そして人間の本質に迫る巧みな演出やその映像美によって、観客に芸術的な体験を提供している。だからこそ、感情に強く訴えかけ長く心に残るものとなるのだ。
2021 20th Century Studios. All Rights Reserved. | 2022 20th Century Studios |
ただいま絶賛劇場公開中の『哀れなるものたち』の次には、2月23日に劇場公開となった偉才タイカ・ワイティティ監督によるヒューマン・ドラマ『ネクスト・ゴール・ウィンズ』や、山田太一の名作を現代のロンドンを舞台に映画化した『異人たち』(4月19日より劇場公開)の公開も控えている。こちらも要注目だ。
ディズニープラスのコンテンツブランド「スター」では、『ノマドランド』、『女王陛下のお気に入り』、『タミー・フェイの瞳』、『エンパイア・オブ・ライト』、『イニシェリン島の精霊』ほか、アカデミー賞®受賞作、ゴールデングローブ受賞作、エミー賞受賞作など、ウォルト・ディズニー・カンパニーが誇る製作スタジオが生み出す珠玉の作品群も多数ラインナップしている。
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