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2019.11.08
三鷹の森ジブリ美術館ライブラリーより、『ディリリとパリの時間旅行』が、2020/1/22(水)にブルーレイとDVDで発売決定!同日デジタル配信開始!
この映画で描かれたパリの繁栄の直後に世界大戦が起きる。
オスロ監督は、いま何故、この時代を描くのか?
映画を見ながら、その答えを探し続ける自分がいた。
鈴木
敏夫 スタジオジブリ 代表取締役プロデューサー

『キリクと魔女』『アズールとアスマール』『夜のとばりの物語』など、アニメーションで独特の美しい世界を表現する、フランスの鬼才ミッシェル・オスロ監督による最新作『ディリリとパリの時間旅行』を三鷹の森ジブリ美術館ライブラリーより、2020年1月22日(水)にブルーレイを4,700円+税で、DVDを3,800円+税で発売、またブルーレイ/DVDレンタルを同時開始いたします。【デジタル配信:2020年1月22日(水)~】
美しき黄金時代のパリ。
ピカソ、モネ、キュリー夫人、ロートレックら数々の天才たちに出会い
少女が事件の謎を解いていく。
小さな子供の大きな好奇心が世界を変えるさまを描いた『キリクと魔女』(1998)、異なった人種や民族、文化圏などの間にある反目や偏見を問うた『アズールとアスマール』(2006)、光と影と圧倒的な色彩で愛の物語を紡ぎだした『夜のとばりの物語』(2010)、『夜のとばりの物語―醒めない夢―』(2010)など、アニメーションで独特の美しい世界を表現するフランスのアニメーション映画監督、ミッシェル・オスロ。待望の最新作はパリへの想いに溢れた宝石箱のような作品『ディリリとパリの時間旅行』です。
2018年のアヌシー国際アニメーション映画祭のオープニングを飾り、フランスのアカデミー賞にあたるセザール賞ではアニメーション映画賞を受賞した本作は、日本では「フランス映画祭2019 横浜」で初めて上映され、観客賞を受賞。2019年8月に劇場公開され、映像美だけではなく描かれる現代的なテーマの数々も話題となりました。
ニューカレドニアからやってきた主人公ディリリは、最初の友人オレルとともに、この時代を彩った多くの天才たちと出会い誘拐事件の謎を解いていきます。オスロ監督は一貫して性別や肌の色、年齢、宗教などで人を区別せず、様々な人種が登場する映画を作り続けてきました。この作品では女性の台頭が目覚しかった時代にあって、それを快く思わない悪者に虐げられる女性たちを描いています。
主人公のディリリは、フランス人とニューカレドニア人との混血で、たったひとりでパリにやってきて、人々と出会うことで、かけがえのないものを見つけていきます。路上で暮らす浮浪者に出会っても「いつか貧しい人の役に立ちたい」と心に決め、未来への力強い希望をもって困難に立ち向かいます。「人口の半分のどちらかが、もう一方を踏みにじるのは閉じた社会だ」と監督は言います。世界中でテロが頻発し、人々を不安にさせる今という時代だからこそ、自由で平等な文化を生み出しそれを享受することの重要性をこの作品は強く訴えかけています。
舞台となるのは、19世紀末から20世紀初頭のパリが最も繁栄した時代、ベル・エポック。夕暮れのヴァンドーム広場、着飾った人々の集うオペラ座、チュイルリー公園や凱旋門など、この時代を彩った風景を、監督自身が4年間撮りためた写真をもとに、当時の華やかさそのままに美しく描きました。この時代の自由闊達で華やかなパリは、また世界中から多くの才能を惹きつけた時代でもあります。映画に登場する著名人は100人を超えます。女性として、母国では受けることのできなかった教育を求めてパリに来た化学者マリ・キュリー、細菌学者パスツールや、洗濯船に集う画家ピカソや、マティス。プルーストやアンドレ・ジッドら作家たち、音楽家のサティやドビュッシーらが登場します。室内装飾はオルセー美術館やマルモッタン美術館などの協力を得て、監督がその高い美意識によって選んだ調度品で再構成されました。ムーラン・ルージュやアイリッシュ・アメリカン・バーでの自由で洒脱な雰囲気は当時にタイムトリップしたかのような気分にさせます。
音楽は『イングリッシュ・ペイシェント』(1997)でアカデミー賞(R)最優秀作曲賞を受賞したガブリエル・ヤレドが『アズールとアスマール』に続き、本作の音楽を担当、初期の段階から製作に参加し、劇中で何度も歌われる「太陽と雨」を始め美しい旋律を生み出しました。また、現代世界最高のオペラ歌手の一人ナタリー・デセイがオペラ歌手エマ・カルヴェの声を担当し、その歌声が映画の美しさをさらに高めています。
日本語吹替版は、来日したオスロ監督が直接演技指導を行いました。ディリリ役は子役として活躍する新津ちせ、オレル役は映画監督や移動映画館の主催など多彩な活動でも知られる俳優、斎藤工が魅力的に演じています。
◆STORY
ひとりぼっちのディリリがパリで出会った、たからもの。
ベル・エポックの時代のパリ。 ディリリは、どうしても外国に行ってみたくて、ニューカレドニアから密かに船に乗りパリにやってきた。
開催中の博覧会に出演し、偶然出会った配達人のオレルとパリで初めてのバカンスを楽しむ約束をする。その頃、街の人々の話題は少女の誘拐事件で持ちきりだった。男性支配団と名乗る謎の集団が犯人だという。ディリリはオレルが紹介してくれる、パリの有名人たちに出会い、男性支配団について次々に質問していく。
洗濯船でピカソに“悪魔の風車”に男性支配団のアジトがあると聞き、二人は向かうが、そこでオレルは狂犬病の犬に噛まれてしまう。
三輪車に乗ってモンマルトルの丘から猛スピードで坂を下り、パスツール研究所で治療を受け、事なきを得る。オペラ座では稀代のオペラ歌手エマ・カルヴェに紹介され、彼女の失礼な運転手ルブフに出会う。
ある日、男性支配団がロワイヤル通りの宝石店を襲う計画を知った二人は、待ち伏せし強盗を阻止する。その顛末は新聞に顔写真入りで大きく報じられ、一躍有名になったディリリは男性支配団の標的となり、ルブフの裏切りによって誘拐されてしまう。ディリリはオレルたち仲間の力を借りて男性支配団から逃げることができるのか?誘拐された少女たちの運命は?
◆STAFF
監督:ミッシェル・オスロ
1943年コート・ダジュール生まれ。ギニアで幼少時代、アンジェで青年期を過ごす。最初はアンジェの美術学校で、のちにフランス国立高等装飾美術学校で装飾芸術を学んだ。アニメーションは独学。プロとしての初の短編作品『3人の発明家たち』(1979)で BAFTA賞を受賞。以降自ら全ての作品のシナリオとイメージデザインを手がける。影絵を用いた『プリンス&プリンセス』など短編アニメーションやテレビアニメーションを多数制作し、セザール賞をはじめ多くの賞を受賞。また初の長編作品『キリクと魔女』では観客から支持され興行的成功も収めた。1994年から2000年まで国際アニメーション協会の議長を務めた。2009年にはレジオン・ドヌール勲章をアニエス・ヴァルダ監督から授与され、2015年ザグレブ国際アニメーション映画祭で特別功労賞を受賞した。
音楽:ガブリエル・ヤレド
1949年レバノンに生まれ18歳までを過ごす。4歳から14歳までベイルートのイエズス会寄宿学校に学び、学校のオルガンを弾いたり、音楽図書館に収蔵された楽譜を読むなどして独学で音楽を勉強した。80年代からは彼の時間のほとんどは映画音楽の作曲に費やされており、現在までに100以上の作品に参加した。1997年には『イングリッシュ・ペイシェント』で第69回アカデミー賞(R)最優秀作曲賞を受賞した。主な作品に『ベティ・ブルー/愛と情熱の日々』(1985)『コールドマウンテン』(03)『たかが世界の終わり』(16)など多数。またシャンソンの作曲家、アレンジャーとしてフランソワーズ・アルディやミレイユ・マチューなどのレコーディングにも関わった。オスロ監督作品は『アズールとアスマール』(06)に続いて2作目。
◆CHARACTER
ディリリ
声:ブリュネル・シャルル=アンブロン
【日本語吹替版】 新津ちせ
ニューカレドニアからパリ行きの船に忍びこみ、伯爵夫人の助けを得てパリにやってきた。フランス語はルイーズ・ミシェルに学んだ。パリで出会った人の名前をノートにメモしている。
オレル
声:エンゾ・ラツィト
【日本語吹替版】 斎藤工
配達人。三輪車の名手。たくさんの人と知り合いでパリの街をすみずみまで知りつくしている。
エマ・カルヴェ
声:ナタリー・デセイ
ベル・エポックの時代に最も有名だった実在のフランスのオペラ歌手。ニューヨークのメトロポリタン歌劇場やロンドンのロイヤル・オペラ・ハウスに定期的に出演するなど国際的にも活躍した。
◆商品データ <発売&レンタル開始日:2020年1月22日(水)>
※データは変更になる場合がございます。
<ブルーレイ セル>
商品名: ディリリとパリの時間旅行
価格: 4,700円+税
本編尺: 約94分
映像特典:
・ミッシェル・オスロ監督インタビュー
・アフレコ風景
・劇場予告編
発売: ウォルト・ディズニー・ジャパン
<DVD セル> ※その他の仕様は<ブルーレイ セル>と同様です。
商品名: ディリリとパリの時間旅行
価格: 3,800円+税
≪三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー≫
世界の優れたアニメーションを、ジブリ美術館がセレクトし広く紹介する活動として、2007年に発足。高畑勲監督・宮崎駿監督がおすすめする作品を中心に、まだまだ知られていない世界中の名作を取り上げています。
映画配給第一弾は、ロシアのアレクサンドル・ペトロフ監督作品「春のめざめ」、DVD化第一弾はフランスのポール・グリモー監督作品「王と鳥」。
以後、世界のアニメーション作家やスタジオと協力し、美術館での展示やイベントにとどまらず、“映像”による作品紹介を念頭に、劇場公開(配給)とブルーレイ・DVD化を2本柱として活動を継続中です。