『トゥモローランド』を読み解く6つのヒント

誰もが世界中で最も素晴らしい場所を夢見て、創造し、設計して作り上げることができる。その夢を実現するためには、人の力が必要である。

―ウォルト・ディズニー

その1. ウォルト・ディズニーが遺した、最大の謎にして最高のプロジェクトが存在した

 この映画の発端となったのは、当初「1952」と呼ばれた映像プロジェクト。 2014年8月のディズニーが主催するイベント、D23でブラッド・バード監督とデイモン・リンデロフによって一般に情報解禁された。
ウォルト・ディズニー社の保管庫(アーカイブ)に、ひっそりと眠っていた数々の資料。 そこには映画のプロット、1920年代の雑誌の切り抜き、奇妙なディスク、地図、パズルなど、さまざまな「夢」が遺されていたという。

 1952年の3年後、1955年に開園したディズニーランド、その後のテーマパークの構想。1964年のNY万博にディズニーが参加した意味や人気を集めた「イッツ・ア・スモールワールド」出品に隠された意味があるとしたら?はたして、それらの資料は、本当にウォルトが遺したものなのか?だとしたら、どんな目的で誰が封印したのか?すべての資料に関連性があったとしたら?こんな「ウォルト・ディズニーが遺した、最大の謎」に「物語」という形で挑んだのが、今回の映画の発端と言えるだろう。

その2. 「トゥモローランド」は、ウォルトの未来への夢?

 世界中のディズニーのテーマパークの中にあるエリアの1つとして知られるトゥモローランド。
1955年のディズニーランド開園当時は、人々の夢見る未来の世界や宇宙開発技術や自動車技術など最先端の科学技術を扱うエリアだったが、「未来」というテーマを扱う性質上、時代とともに新たな「未来」を志向し、改装や新たなアトラクションの導入が行われてきた。(注:ディズニーランド・パリの同エリアは、ディズカバリーランドと呼ばれる。)

 その後、現在も人気アトラクションの1つである宇宙空間を高速で走り抜ける「スペース・マウンテン」や、『スター・ウォーズ』の世界観をアトラクションにした「スター・ツアーズ」、ディズニー/ピクサーの人気アニメーション『トイ・ストーリー』から生まれた「バズ・ライトイヤーのアストロ・ブラスター」などが作られ、園内でも人気のエリアとして存在している。
映画『トゥモローランド』に登場する未来都市「トゥモローランド」は、まるでテーマパークの「トゥモローランド」が現実となり、さらに進化した場所として観客を誘ってくれる。
「トゥモローランド」は、まさに、ウォルトが「未来に託した夢」を実現したエリアとも言えるだろう。

その3. ウォルトが本当に夢見ていた未来都市:EPCOT

 1955年に、カリフォルニア州アナハイムに誕生したディズニーランドは、アニメーションやライブアクション製作のほかに、ウォルト・ディズニーが夢見たもう1つの「夢」だった。
 アナハイムのディズニーランドに続いてウォルトが情熱を注いだのが、アメリカでの第2のパーク構想。長いリサーチと土地交渉の末に、温暖なフロリダ州オーランドの広大な土地に作られたのが「ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート」である。1965年にウォルトと兄ロイが計画を発表したが、翌1966年12月にウォルトが亡くなると、その計画はロイと会社幹部が引継ぎ、1971年10月にマジック・キングダム、1982年にエプコット・センター、1989年にディズニーMGMスタジオ、1998年にディズニー・アニマル・キングダムが完成し、さらに進化は続いている。(ロイ・ディズニーは、開園の2か月後に他界した)
 ウォルトは、晩年、かねてから考えていた都市構想を実現するため、ディズニー・ワールド・プロジェクト構想の中に、エプコット EPCOT: Experimental Prototype Community Of Tomorrow(実験的未来都市)を実現しようとしていた。

 ウォルトの考えたEPCOTは、商業センターが中心の場所となり、そこから放射線状に居住用の道路が広がり、広大な緑の空間の中には、娯楽施設や学校などが建てられ、3層に分けられた交通システムで、物資を運ぶトラックやその他の車はエリアが分けられ、効率的な輸送や移動を行う、というもの。
映画で描かれる「トゥモローランド」の交通システムや現在パーク内やパークを繋ぐ乗り物も、そんなウォルトの未来都市構想が体現されたものかもしれない。

その4. 「イッツ・ア・スモール・ワールド」は「トゥモローランド」への入口なのか?

 映画の冒頭、田舎町に住んでいたフランク・ウォーカー少年は、ニューヨーク、マンハッタン近郊のフラッシング・メドウズで開催された万国博覧会の会場で行われた「発明コンテスト」に参加する。そこで、謎の少女アテナに不思議な「Tマークのピン・バッジ」を渡され、「イッツ・ア・スモール・ワールド」に乗り込むと、そこから未知なる世界へと飛び込んで行くことになる。
 1964年に開催されたニューヨーク万博は、Peace Through Understanding(理解を通した平和)をテーマに、各国から当時の科学の先端とも言えるパビリオンが披露された。ユニセフから依頼を受けたウォルト・ディズニーは、会場に「世界平和」をテーマとしたアトラクション「イッツ・ア・スモール・ワールド」を出品した。デザインのモチーフは、アニメーション作品にも多くのデザインを提供しているメアリー・ブレア、心躍るテーマ曲は、シャーマン兄弟が手掛け、オーディオ・アニマトロニクス(音楽に合わせて動く人形)が来場者の心をとらえた。万博終了後、「イッツ・ア・スモール・ワールド」は、アナハイムのディズニーランドに移築され、以後、各国のテーマパークにも作られた人気アトラクションになっている。
 ウォルトが、進歩の象徴とも言えるニューヨーク万博に掛けた想いは何だったのか?
『トゥモローランド』の物語が、NY万博から始まる意味を読み解くのも、一興かもしれない。

その5. 「トゥモローランド」へ導く「アテナ」という少女は、「都市の守護女神」

 1964年に11歳の少年フランクを、2014年に、未来を信じる少女ケイシーに「Tマークのピン・バッジ」を渡し、「トゥモローランド」へと導くアテナという名の謎の少女。
彼女は何故50年という年月を経ても年を取らないのか、何故フランクとケイシーにバッジを託したのか・・・

 もともとアテナという名前は、ギリシア神話に登場する女神で、都市の守護女神として崇拝されてきた。
その名前で呼ばれる少女が、「すべてが可能になる世界:トゥモローランド」の謎を解く鍵になっているのも興味深い。
アテナの本当の目的や謎を解明するには、映画を見てもらうしかなさそうだ。

その6. 世界の天才たちが夢見た“すべてが可能になる世界”「トゥモローランド」

 「トゥモローランド」は、19世紀から20世紀に活躍した世界の名だたる天才たちが作った「すべてが可能になる世界」として登場する。その天才たち、トーマス・エジソン(発明家・起業家)、ニコラ・テスラ(発明家)、ジュール・ヴェルヌ(SF作家)、ギュスターヴ・エッフェル(建築家)などが中心となって結成した「プルス・ウルトラ」という組織。「プルス・ウルトラ」とは、ラテン語で「もっと先へ」という意味で、スペインの国のモットーとしても知られている。ウォルト・ディズニーも、この組織の一員として「トゥモローランド」設立や運営に尽力しているとしたら、最大の功労者なのかもしれない。
 映画の設定はフィクションではあるが、もしかしたら、そんな組織も、「トゥモローランド」も実在するとしたら?天才たちが関係のある世界中のいたるところに、「トゥモローランド」への入口が隠されているとしたら?もしかして、天才たちはまだそこにいて、我々の進歩を見届けているとしたら・・・?
 世界中に天才たちが仕掛けた「謎」を読み解くのも、映画の楽しみ方かもしれない。

おすすめ商品

おすすめミュージック